概要

一般名レボレキサント
剤形2.5mg錠、5mg錠、10mg錠
メーカーエーザイ
薬価2.5mg錠  57.30円
5mg 錠 90.80円
10mg錠 136.20円
発売日2020年7月6日
HPこちら
デエビゴの概要

効能または効果

  • 不眠症

用法用量

  • 通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。

解説

  • 「オレキシン受容体拮抗薬」というカテゴリに該当する新規の睡眠薬になります。
  • オレキシンという物質は、脳内で分泌されるホルモンです。脳内で睡眠・覚醒、摂食行動、報酬系、情動にかかわるとされています。デエビゴは、オレキシン受容体をブロックすることで、覚醒レベルを下げて睡眠の状態へ導きます。覚醒機構を減弱させることで入眠につなげます。
  • 従来の「ベンゾジアゼピン系」と呼ばれる睡眠薬とは作用の仕組みが異なります。ベンゾジアゼピン系はGABAa(脳の興奮を抑える系統)の抑制機構を増強することで睡眠を促していました。入眠効果は強いのですが、依存と耐性の問題が言われていました。その点で、オレキシン受容体拮抗薬は自然な睡眠をサポートしているだけなので依存と耐性の問題が少ないと言われています。
  • 「ベルソムラ」もデエビゴと同様にオレキシン受容体拮抗薬になります。ベルソムラは中途覚醒によく効き、デエビゴは入眠に効くという住み分けがなされています。が、オレキシン受容体には1受容体と2受容体があるのですが、2受容体がより覚醒に関与する受容体で、デエビゴの方が2受容体により親和性が高いとされています。そのため、近年はデエビゴの方がよく処方されている印象もあります。
  • 副作用としては「悪夢」の問題が言われています。オレキシン1・2受容体を強く阻害するとレム睡眠が増加し、夢が増えて悪夢が見やすくなると言われています。「国際共同303試験において、デエビゴが投与された884例のうち悪夢の副作用が12例(1.4%)、異常な夢の副作用が16例(1.8%)」(参考文献)であり、割合としてはそれほど多くはありません。当院でも数%程度の方が悪夢の訴えをされますが、多くの方は問題なく内服できている印象です。
  • 当院の睡眠外来でもよく処方している薬になります。長期間ベンゾジアゼピン系睡眠薬を使用されてきた方で睡眠が不十分な方は、デエビゴへのスイッチは治療の選択肢に上がるかと思います。